Eno.559 アスター

呪縛

その世界において、瞳の色は魂の色。
唯一無二にして、輪廻を経ても変わらぬもの。

純粋な青、原初の青の瞳は、創造神のものであった。
創造神はある時、世にはびこり人を襲い喰らう『魔獣』を滅ぼすため、
『英雄』を作ろうと考えた。
神は自身の一部を分け、あらゆる才能を詰め込み、人の世に送った。


だが、英雄の器は死んでしまった。
その兄によって殺されてしまったのだ。
神はひどく憤慨した。
兄の瞳/魂は、悪魔憑きの赤銅だった。


神がどのように処罰しようか考えている間に時は流れた。
兄は妻子を得ていた。
双子の片方、娘の瞳は白金色をしていた。

神はさらに憤慨した。
神は白金の魂の娘にずっと恋慕していた。
神は怒りと嫉妬に狂い、自らの分霊を殺し愛する人と親しげにする男を、
強く、強く呪った。

死んでしまった英雄の器の残骸に、神の欠片を入れて練り上げて、
霊の形にし、男に取りつかせた。
そうして、異なる世界に飛ばし、死に続ける呪いをかけた。


男を呪うのは、男が信仰していた神だ。
その世界でいちばん強い神の呪いは、生易しいものではなかった。
呪いは続く。
ずっと、ずっと、続く。
神を殺し、神が作った呪いを壊すまで。