Eno.11 レイモンド・マクファーソン

ep

「・・・むーん。」


「・・・レイ?寝ているのか?」


「・・・いや、これから木を切って蒸留を・・・。」


「?? 寝ぼけているのか?レイ?」


「・・・はっ!あれっ船・・・海?いや夜・・・?ここは・・・」


「寝ぼけているのか?いきなり眠ったから仕方ないかもだが。」


「!る、ルヴィ・・・!会いたかったぜ!!うわぁ嬉しい!!」


「うわ!・・・一体どうしたのだ!?今の今まで一緒にいたであろう、むしろお前が寝てしまって・・・」


「えっ!じゃあ、今までのは夢か・・・?ニコルやピスティッペー、オルキーヌにリンカ・・・」


「なんだか大冒険をしてきたようであるな?夢の中で・・・
 面白そうだから聞かせてくれ、私を放って寝た罰にな。」


「! いいぜ!むしろすっごく聞いてほしいくらいだ!
 何処から話そうか・・・ん?」



・・・左手に、鮮やかな花。
ポッケには、鮮やかに赤いサンゴ。

さて、どこまでが夢だったのやら。

「ルヴィ!これやるよ!あと・・・この赤いサンゴも!」


「む?一体いつの間にそれを・・・さっきは持っていなかったではないか。
 だが、綺麗だなその花。お前の瞳と同じ色をしているのである。」


「だろ!サンゴもルヴィの色みたいでさ・・・
 あっ夢の話も一緒にしたほうが分かり易いな!あのな、俺島に遭難して・・・」


「遭難!?」




・・・そうして、島とそこ出会ったひとの話をずっとずうっとして。夜が明けても話を続けて。
まだまだそれじゃ語りつくせなくて、次会った時に続きを話すと言って。

料理大会での料理を再現したりして。

花火を山を越えて咲かせる花として国をあげて作ったりして。

彼らにもう一度、君と一緒に会いに行きたいと願ったりして。

幸福な時間を、吸血鬼と過ごしていくのだろう。







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・・・

「俺とお前じゃ、時間の流れは違うけれど。
 千の夜を越えたって、万の昼を迎えたって。
 お前の隣に在り続けると、誓うから!
 ルヴィ、いや・・・ロベルタ。だから 俺と、」


吸血鬼と供に歩むと決めた人間レイモンドは、人間と吸血鬼が共存して暮らせる国にできるように
間を取り持ったり、人間側の国のトップとなった兄たちに進言をしたり————
自身ができる限りを尽くしていく。自分は、人間のままで。

人間も吸血鬼も愛していた彼の思いは、伴侶である吸血鬼、その子たちにのち1000年・・・引き継がれていくのであった。