果ての旅路
「海ばかりの世界……そんなところがあるのか。」
「次の旅先はそこにしてみないか?」
「馬鹿言えクリス、全部流されるような場所でゆっくりバカンスなんてできねえよ」
「あら、でも海は素敵じゃない。4人では行ったことなかったかしらねぇ」
「そうだそうだ、ぜひ次の旅先は海にしよう!」
「ったく……わかったわかった、海のある場所を探そうか。」
「やったー!頼んだぞクレフ!」
「でもそれだけじゃ絞れねえぞ、他に希望は?」
「そうね、花が見たいわ。花鳥風月が綺麗なところがいいわ」
「闘技場があるところがいい!」
「お前はもうちょっと母さんの優しさを見習え……」
「ぶー」
「……で、父さんはどうする?」
「そうだそうだ、とうさまの希望も聞かなければ!」
「あなたはどこがいいかしら?」
私は、
あなたたちと一緒なら、どこへでも。
「うふふ、あなたそれしか言わないんだから、もう♪」
「まあ知ってたよ……じゃ、その条件で探すとして……」
「次の旅も楽しもう、とうさま!」
それはずっとずっと先、旅路の果ての果ての話
最後の獣になった男が、救われた先の旅路
幽玄の男と、藤鬼の女と、騎士の娘、術士の息子
不幸の歴史を塗り返す、花束のような家族旅行記
また語られる日まで、閑話休題。
あなたがたが、幸福でありますように。