【18 終 花咲く異界で、ミオソティスは】
勿忘草は、孤独だった。
勿忘草は、愛を知らなかった。
勿忘草は、愛に狂った。
勿忘草は、そして──
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「…………愛を、知れた?」
今なら少しは信じられる気がするんだ。
今なら少しは自分を愛せる気がするんだ。
消えない痛みもトラウマもある。
でも、このふたりとなら。
そして僕も、誰かの痛みに
寄り添えるようになれたなら。
──あの島の仲間たちが、僕にそうしてくれたように。
◇
ニライは僕に、熱をくれた。
リシアンサスは僕の、居場所になった。
クライルは僕に、ただ寄り添ってくれた。
ねーさまは僕の、ひだまりだった。
アルもクロウもノアも、大切な仲間だ。
あのねこちゃんも、かわいかったな。
あの7日間で得たかけがえのない日々を、
僕は絶対に忘れることはないのだろう。
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「──ありがとう、
大好きだよ!」
運命の女神様が微笑むのなら、
僕ら、また会える日も来るのでしょうか。
打ち上げた奇跡的な再会に込めた祈りが、
現実となることを願っているんだ。
──そして、今日も日々は続く。
「リシアンサス、クライル!」
花咲く異界、穏やかな異界、
リシアンサスの異界で。
僕はぱたぱた、駆けていく。
どうしたのと、ふたりは優しい顔をするんだろう。
僕は頬を上気させながら新しい発見を話して、
ふたりはきっとそれにちゃんと返してくれる。
ささやかな幸せが、僕の心に降り積もっていくんだ。
──ねぇ、過去の僕、
死にたかった僕よ、見ているかい?
──生きているのは、楽しいんだ。
──だからさ、諦めてたその顔を上げて、
自分の前を、伸ばされた手を、ご覧よ。
待っているふたりの方へ、駆けていく。
転んじゃったら、泣いちゃったら、
ふたりはきっと助けてくれるんだろう。
僕が欲しくてやまなかった愛は、
確かにここにあるのだと確信出来ている。
ふと立ち止まって見上げた空は、
あの島と同じ色をして。
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「…………」
懐かしさに、僕は穏やかに微笑む。
そんな僕の足元には、
未来への憧れの花が咲いていた。
【ミオソティスの花便り
──TRUE END!】