Eno.315 グリーデ

◆エピローグ

「うむ、悪くない旅であったな!」



あの巨大に思えたかのような無人島から抜けて数日。
己は、いつの間にか自分の世界の海へと渡っていたのだろうか。

船上で、見知った友人を見かけることになるとは、予想外であった。

「お前の縁が辿れなくなってきてみたんだが……」


「……随分と財宝を持ち帰ってんな?楽しかったか?」



「……ああ、そうだな」


「愉快な旅であったぞ、ヴィンテルよ」



「あーあー、心配して損した。
 魔王様なんてほっぽって響のとこにもう戻るとするよ。
 ……まだちょっと遊び途中だったしな」


「む、そんな風に言うでない。
 しかし、響とやらと随分と親しいようだが、
 ファラウのとこにはいかぬのか?そちらの方も心配だろう?」


「少なくとも今はあいつは奮闘してる時期だから
 もう少し涼しい時期になってから行くよ。
 ……しかし、あんたも俺が心配なのは、分かってんだろうな?」


「ああ、すまない。
 礼を言うぞ、ヴィンテル。
 ……お陰でシャクレーゼとも合流できそうだ」


「……そういえば、あの赤髪、
 すっげえでっけえ船を操船して先に浜についてたぞ。
 方角はあっちな」


「……我はともかくシャクレーゼが船を???」




何はともあれ、己はその後、ヴィンテルと別れ。

シャクレーゼと合流し、船の経緯を把握し、交渉の作戦を練り。

部下と共に、改めて、海の民へと、交渉をしに、行くのであった。