◆エピローグ
「うむ、悪くない旅であったな!」
あの巨大に思えたかのような無人島から抜けて数日。
己は、いつの間にか自分の世界の海へと渡っていたのだろうか。
船上で、見知った友人を見かけることになるとは、予想外であった。
「お前の縁が辿れなくなってきてみたんだが……」
「……随分と財宝を持ち帰ってんな?楽しかったか?」
「……ああ、そうだな」
「愉快な旅であったぞ、ヴィンテルよ」
「あーあー、心配して損した。
魔王様なんてほっぽって響のとこにもう戻るとするよ。
……まだちょっと遊び途中だったしな」
「む、そんな風に言うでない。
しかし、響とやらと随分と親しいようだが、
ファラウのとこにはいかぬのか?そちらの方も心配だろう?」
「少なくとも今はあいつは奮闘してる時期だから
もう少し涼しい時期になってから行くよ。
……しかし、あんたも俺が心配なのは、分かってんだろうな?」
「ああ、すまない。
礼を言うぞ、ヴィンテル。
……お陰でシャクレーゼとも合流できそうだ」
「……そういえば、あの赤髪、
すっげえでっけえ船を操船して先に浜についてたぞ。
方角はあっちな」
「……我はともかくシャクレーゼが船を???」
何はともあれ、己はその後、ヴィンテルと別れ。
シャクレーゼと合流し、船の経緯を把握し、交渉の作戦を練り。
部下と共に、改めて、海の民へと、交渉をしに、行くのであった。