Eno.328 天使グッドラック

たくさんの幸運

俺は幸運だ。
救助の船が出航して、天使を辞めたことを伝えても、
ふたりは特に気にせず受け入れてくれた。

ただもうちょっと荷物を持ち出してくるべきだった。
安心しきってほぼ手ぶらで出てきたようなものだったからな。
師匠の用意してくれた保存食に、香りのいいお茶。
シルクが作ってくれたフレンチトースト。
船の上で潮風を感じて食べるのも、絶品だ。
ふたりと一緒だから、より美味い。
俺はすごく幸運だ。

シルクは読み書きと料理を勉強してみると言っていた。
やりたいことにいつも真っ直ぐなシルクなら、すぐマスターできるぜ。応援してる。

師匠もより高みを目指すと宣言していた。
師匠がもっと知恵と経験を身につけたら……師匠どころか、もっと偉くなるぜ。弟子の俺も誇らしい。

俺もシルクに心配されないように体力つけて、
師匠みたいにいろんな知識を役立てられるようになりたい。

皆元気に頑張ろう。そう誓い合った。
俺たち、同じ無人島を協力して生き抜いた、友達だから。
幸運も知恵も筋力も、たくさんたくさんシェアしたからな。