Eno.17 明けぬ夜の灯台守

彼によれば

──んーにゃ、ちゃんとまとめて話せって?

オレもさ、やりたいことがあって実家の星を出てその星に移住した。
試験合格まではさほどかからなかった。ほとんど一発合格のようなもの。
自分は勉強に関しては要領が良かったのだと思う。

小麦だらけのこの星を愛していないわけではなかった。
黄金の平原を見るのは好きだったし、オレの原風景というものなのだろう。
青空の下、そこら辺で寝っ転がって昼寝こいてる時の満足感たら。
仕事してる時も楽しかったけどな。小麦を刈る機械を乗り回してるんだ。
揺れる振動。かられる音。生い茂っていたものが更地になる様子。
嫌いじゃなかった。むしろ好んでいたのかもしれん。なんていうか、仕事してるのを感じるじゃないか。有るものがなくなるのは。
まあそれはどうでもいいことか。
どっちにせよ仕事には真面目だったと思うよ。
仕事以外じゃ、おちゃらけめ、とは友人からも言われてた気もするけど〜。

グループ内でのムードメーカーってやつだった。
オレがいりゃ果てまで明るくなっちゃうね。
というのをオレがいうんだから信ぴょう性がね〜って言われんだけどさ。
ムードメーカーってやつは周りが思うのであって本人が言うものではない。
でもお前は変なやっちゃな〜って言われながら、周りの奴らには許されてきた気がする。
わからん。何かよくしてやりて〜って色々手伝ったからかもしれんけど、好かれてたの。

あんまりそこらがわからんのだ。
オレが動きゃ世界は回る。オレだけの世界が。
なんて洒落た割には重くてや〜ね、この言い回し。

まあとかく、オレはそんな星を出た。
いいよね〜、星の間を運転するドライバー。
あの乗り物に憧れてだんだよ、空の船。
どうにも1箇所にとどまるのを嫌がる性分だったらしい。
だからそれは紛うことなき天職!
大抵は生まれた星の職業が天職になるんだけどな。オレばっかりは違ったらしい。
麦刈るのも悪くなかったが、運転手の方がずーっとよかった。
とった給料で小型の船も買っていた。
ドライブするの趣味だったの。遊覧船じゃなくて自分の手で巡る星巡り。
観光地にもあちこち行ったな〜。


ま〜〜今となっちゃ遥か昔の話だけど!