あれから・・・・。
あれから・・・・随分と時間が経って・・・・。
はい、どうも『元・コンラード』のテヅルモヅルです。
え~僕達は今・・・・『水族館』に居ます。
えっ・・・・なんで水族館に居るかだって?
何度も様々な海で過ごしていた時に運が良いのか悪いのか僕達は
『底引き網漁』の網に掛かってしまって漁師に捕獲されてしまった
んだよね。
で・・・・僕達を捕まえた漁師さんは、僕達のような『深海生物』に
『価値』が有るという事を知っていたらしく、その人の伝手で僕等は
水族館のスタッフに引き取られて飼育される事になったんだよね。
で・・・・僕達のようなテヅルモヅルは新種じゃないのかって事で
ちょっとだけ体の一部を採取されてしまったけど・・・・まぁこの
まゝ飼育展示されるって事になったんだよね。
そんなこんなで飼育されて早や数年になるんだけど・・・・それにしても
ここは最高に快適だよ!
至れり尽くせり毎日、餓えないように食事は食べさせてくれるし住処の掃除も
してくれて水質も温度も完璧!
まぁ・・・・水槽内が少々狭いのは気にしない事にしている。
だってエイリークも、ここでの生活を凄く気に入ってくれているしね!
それに狭くても僕等は元々活発に動く様な生物じゃないからね。
あ~まじ・・・・永遠に此処に居ても良いわぁ・・・・あっ・・・・たまには
見に来てくれてる、お客さんに触手を振ってあげたりのサービス(?)くらいは
してあげてるよ?
えっ・・・・気づかないだろうって?
良いじゃないか気分だよ、僕がそうしたい気分!
あー・・・・ホント幸せ・・・・あっご飯の時間だ・・・・小エビ美味っ!!
そして・・・・更に数年が経った・・・・深夜の水族館で。
うーん・・・・今日も快適・・・・幸せ・・・・むにゃむにゃ・・・・。
すると・・・・急に水槽内に『吸い込まれる』ような水流が発生する。
ん・・・・なんだ・・・・この流れ?
水替え?
こんな真夜中に??
・・・・・・・・いや違う!
これは・・・・まさか『絶海領域』への『ゲート』か!?
いっ・・・・嫌だ!!
僕達は、ずっと水族館で暮らしたいんだ!
あんなハードモードの海になんて行きたくない!!!
だけど・・・・僕達の、そんな願いは空しく・・・・凶悪とも言える吸引力で
僕とエイリークは絶海領域の海へと引き戻されてしまうのであった・・・・。
そして翌日か翌々日・・・・彼等が飼育されていた水族館があった世界の新聞の
地方記事が載せられる部分に『長期飼育されていた新種のテヅルモヅル盗難』と
書かれた記事が載せられTVの地方の出来事でニュースになる事になった。
『○○灘』沖で捕獲され○○水族館で長期飼育されていた新種のテヅルモヅル
『ナチグロハリガネクモトゲヒトテヅルモヅル』2匹が○月○○日の未明、盗難に
あった模様。
犯人の行方は不明、監視カメラにも姿が確認できず・・・・水族館のスタッフにも
聴き込み。
この新種のテヅルモヅルは他種とは異なる特殊な『遺伝子』を持った個体であり
学術的にも非常に重要視されていた。
何故か飼育水槽の中には『タライ』と『フライパン』が入れられていた。
犯人は愉快犯か水族館に恨みがある人物、もしくは金銭目的の犯行か?
他の水槽にも被害が無いか現在確認中・・・・警備に不備があった可能性も
と言う感じで書かれ放送されるのであった。