花波シオンの記録【7】
私はようやく、仲間たちがそれぞれ乗っている救助船と合流する事ができた。
そして現在、四隻の船が並走している。
「想像だにしてなかったなぁ、刀が遭難するなんて」
最初にそう言ったのはサバイバーだった。
「ひとは見かけによらない、とはこういう事だな」
それに続けるように、ディーマも口を開く。
「いっそ行動不能になってたら、ちょっとは面白かったのに」
そうだったら思い切って笑ってやるところだったけど、残念ながらちょっとだけ負傷している程度で、刀は全くピンシャンしていた。
『縁起でも無い事を言う』
当の本人、人間じゃないけど、は笑いながら、私の言葉にそう返した。
本気で思ってないでしょ、絶対。笑ってるし。余裕そうだし。
「――しかし、こうして実際に来てみると、この世界は異様だし、海も異常だな。先日、新たな海を取り込んだと聞いたが……つまりここは、様々な異世界の海を取り込むのか?」
そういえばレイワは、前回は推測しただけだったものね。
『さて、な。我には興味の無い事だ。もし解明したければ、今度試しに遭難してみては?』
「遠慮しよう。オマエのように脱出できなかったら困るからな。ワタシはもう蘇れないのだ」
『フフ、それは残念。だが、海辺の依頼をこなす時は気を付ける事だ。今度はこの異世界に取り込まれるやもしれんぞ?』
「……善処する」
刀と話すレイワも、勘弁してほしそうな表情を浮かべていた。
確かに好き好んで遭難しようと思うひとは居ない。狂人でもなければ……。
それはともかく、もし次に居なくなるのがレイワだったら嫌だなぁ。
サバイバーやディーマでも嫌だけど、レイワが居なくなるのが一番嫌かも。
「レイワが居なくなったら私、全力で探すからね」
今回の依頼では手が届かなかったから、今度は手が届かなくなる前に行動する事にする。
レイワにはまだまだ、色んな世界を見て回ってほしいもの。
「シオン……」
私の気持ちが伝わったのか、レイワは少し照れながら微笑んだ。
『好かれているな、桜人形レイワよ』
言い回しはともかく、流石の刀も水を差すような真似はしなかったか。
本当に気まぐれで、普段は何を考えているのか全く分からないけれど。
現在はたまに優しい一面も覗かせる、と思う事にしている。
私はどうしたって人間で、夢を見たい種族だからね。
◇
「レイワって泥酔して目が覚めたら知らない場所に居た、とかにゃならねぇから良いよな……」
「彼女は飲み食いができないからな……」
魔剣と人間と人形が話し合っている中、竜人の二人はこちらで話し合っていた。
「どこかで頭を打って記憶喪失にでもなったら、知らない場所で慌てるかもしれないが」
「それも多分無ぇだろ、最悪頭部壊れそうだし」
お互いに苦笑いした。
最後に「まさかな」と同時に言った。
……実際、本当にこの通りになる事は無いだろう。
ただし……遭難しないとは……限らないかもしれないが。
そして現在、四隻の船が並走している。
「想像だにしてなかったなぁ、刀が遭難するなんて」
最初にそう言ったのはサバイバーだった。
「ひとは見かけによらない、とはこういう事だな」
それに続けるように、ディーマも口を開く。
「いっそ行動不能になってたら、ちょっとは面白かったのに」
そうだったら思い切って笑ってやるところだったけど、残念ながらちょっとだけ負傷している程度で、刀は全くピンシャンしていた。
『縁起でも無い事を言う』
当の本人、人間じゃないけど、は笑いながら、私の言葉にそう返した。
本気で思ってないでしょ、絶対。笑ってるし。余裕そうだし。
「――しかし、こうして実際に来てみると、この世界は異様だし、海も異常だな。先日、新たな海を取り込んだと聞いたが……つまりここは、様々な異世界の海を取り込むのか?」
そういえばレイワは、前回は推測しただけだったものね。
『さて、な。我には興味の無い事だ。もし解明したければ、今度試しに遭難してみては?』
「遠慮しよう。オマエのように脱出できなかったら困るからな。ワタシはもう蘇れないのだ」
『フフ、それは残念。だが、海辺の依頼をこなす時は気を付ける事だ。今度はこの異世界に取り込まれるやもしれんぞ?』
「……善処する」
刀と話すレイワも、勘弁してほしそうな表情を浮かべていた。
確かに好き好んで遭難しようと思うひとは居ない。狂人でもなければ……。
それはともかく、もし次に居なくなるのがレイワだったら嫌だなぁ。
サバイバーやディーマでも嫌だけど、レイワが居なくなるのが一番嫌かも。
「レイワが居なくなったら私、全力で探すからね」
今回の依頼では手が届かなかったから、今度は手が届かなくなる前に行動する事にする。
レイワにはまだまだ、色んな世界を見て回ってほしいもの。
「シオン……」
私の気持ちが伝わったのか、レイワは少し照れながら微笑んだ。
『好かれているな、桜人形レイワよ』
言い回しはともかく、流石の刀も水を差すような真似はしなかったか。
本当に気まぐれで、普段は何を考えているのか全く分からないけれど。
現在はたまに優しい一面も覗かせる、と思う事にしている。
私はどうしたって人間で、夢を見たい種族だからね。
◇
「レイワって泥酔して目が覚めたら知らない場所に居た、とかにゃならねぇから良いよな……」
「彼女は飲み食いができないからな……」
魔剣と人間と人形が話し合っている中、竜人の二人はこちらで話し合っていた。
「どこかで頭を打って記憶喪失にでもなったら、知らない場所で慌てるかもしれないが」
「それも多分無ぇだろ、最悪頭部壊れそうだし」
お互いに苦笑いした。
最後に「まさかな」と同時に言った。
……実際、本当にこの通りになる事は無いだろう。
ただし……遭難しないとは……限らないかもしれないが。