Eno.261 ワビスケ

お帰り、ワビスケ

「侘助!」


目をあけたら心配そうなパパの顔

ママはぽろぽろ泣いていました

「パ……」

「大丈夫か?どこか痛いところないか?」

「侘助ちゃん……よかった、目を覚ましたのね……うぅ……心配したのよ」

痛いところ……頭がとってもいたかったような……

ずきんずきん、大きなこぶができていました

「う……うわあああああああああああん」

「わぁ、どこか打ったか?いたいのいたいの飛んでいけ」

「大丈夫よ、侘助ちゃん……痛みに効くスプレーもってきてあげるわね」

痛いから泣いたわけではありませんでした。

たいせつな人達と、おわかれした事がとても寂しくて、でも、パパとママに会えたのは

とても嬉しくて……少し感情が混乱していました。

かわいいねこさんのぬいぐるみ

おおきないぬさんのぬいぐるみ

ふぇにっくすのまほうつかいさんとしたやくそく

ぼくをなでてくれたおおきくてやさしい手のひら

みんなのえがお

ぐるぐると心のなかでおおきくなって、しっかりとのこって、おもいうかべるたびに

なみだがぽろぽろこぼれていきました。


泣いて、泣いて、なみだがすっかり流れていって少し落ち着いたら

パパとママに、たくさんお話しをしよう。

あの不思議な島でやさしいおにいさんやおねえさん、

おにいちゃんやおねぇちゃん、かわいいどうぶつさんと灯台さんと

みんなで一緒に過ごしたふしぎなしまのはなしを。


-happy end-