烏丸夜交の黙示録Ⅶ ∂観測士∂
烏丸夜交の黙示録─特殊区域163346号─
『“準イ級”絶海領域ジーランティス』
〚序論〛
ある日、同じ高校の生徒20数名と無人島に流れ着く。
最初は25人だと思ったら後になって26人だと判明した。
実はデスが二人いたからだ。よくわからない。
今ごろまた増えてるかもしれない。
お里スカウターの人格も人間とカウントすると27人になる。
逆に自称宇宙人を人間として除外すると
24~25人あたりまできっと減る。多様性。
〚本文〛
この島に人は居ないものの、膨大な資源があった。
さらには先人の残したレシピも存在し、
学校の連中と協力すれば生活には困らなかった。
ある嵐の夜、不思議な力を持つ石を見つけた。
メンバーの一人、所謂なずむがその石から星の記憶を創り上げる。
虹色の輝きを撒き散らしながら、その記憶は語った。
この海に、俺達の身に、一体何が起きているのかを。
〚結論〛
この海は、古代の魔術師が作り出した時空の歪みだ。
他の世界の海と無節操に繋がり、
様々なものを吸い込む災害のような怪異。
この島で見つけた星の記憶から、俺達はそう読み解いた。
これだけ書くと厄介な怪異と思われそうだが
島には致命的な存在が居るわけでもなく、
7日間生き延びて救助船に乗れば脱出は可能だ。
ただし、無人島生活の難易度は
一緒に居合わせたメンバーの協力性によるだろう。
ゆえにこの異界の危険度は”準イ級”とする。
〚おわりに〛
最後に、流島高校について触れる。
“多様性”を謳うこの高校に入学して2年が経つが、
異界に関わる事案について、特に報告することはない。
今回の異界に巻き込まれたことは偶発的な事故であり、
流島高校との因果関係は無いと判断してよいだろう。
だが、流島高校自体の調査継続は必要だ。
契約は2年だったが、1年の調査延長を要求する。
もう少し見ていきたいものができた。
〚私文〛
……ここからはただの独り言だが。
思考の整理のため、私物のレコーダーに録音する。
今回の異変に関わったメンバー、俺以外の24名について、
俺の印象と感じたことを次の記憶に記す。