Eno.183 シスター・イサベレ

シスターとは

案の定、結界外では魔物が調子にのっていた。
とりあえず一番強そうなのからしばいた。

「魔族のくせになんだその聖職者みたいな格好は」と馬鹿にされたので、もう一発しばいた。
知能はあるのにデリカシーがないからそうなるのよ。
別にいいじゃない、惚れた男に見繕ってもらった服着続けたって。

帰ったら子供達……もう大人ではあるけど。
あの子達も教会で大人しく過ごしていて無事だった。
どうやらあの無人島とは時間の進みが違ったみたいで、実際はほぼ丸1日姿を消していた……らしい。
だから井戸に落ちて脱出するのに時間がかかったと言っておいた。
一応、井戸に落ちたのは事実だし。
あの子達も大きい騒ぎにはしてなかったみたい。
内職で何日か顔出さないこともあったからね、本当にありがたいわね。

水汲みに井戸に向かったはずが、とんでもないサバイバルを経験してしまって、
しかも延々と窯の火を見ていたの。
夢魔エンプーサが夢みたいなこと言ってるのよ。
結構面白い気がするんだけど。
でも聞いてくれる人もいないんじゃあ……。

「……そういえば、貴方がいたわね、聞き手になる気はある?」
「しかもこんなところにまでついて来てしまって、いいの?」
「此処はあの島よりずっと退屈なんだから、覚悟してちょうだいね?」

*quack*