娯楽天使:１号機さま

先輩。聞きましたよ、いつの間にか帰ってたって。
長期出張の予定がシースルーバカンスになったって……報告書には書いてましたけど。
全然読んでも意味わかんないです。どういうことですか？


……というか、私。納得いきません。


先輩はそもそも調査のための出張なんて必要ないじゃないですか。
この世のあらゆる知識を備え、さらにはそれらのデータを滞りなく処理できる。
エリート中のエリートが、先輩なんですから！
……そのまあ、今は壊れてるのは……玉に瑕ってことですよ。

ともかく！データベースに不備があるのは直さない上のアホど……ひとたちが悪いんじゃないですか！
私、先輩に無駄なことさせるなって、入れておきましたから！苦情！たくさん！

……っていうのは、まあ置いといて。
でもなんていうか、私。安心しました。
先輩の報告書と、それにくっついてた写真を見て……。
知らない人が沢山いるなかに、あんなに楽しそうな先輩が写ってたから。

その、ずっと……心配してたんです。先輩のこと。
昔みたいに色んなことを出来なくなって、いくつかの使命からは外されちゃったりして。
それを、惜しく思うって機能も……今は動いてないかもですけど。
提供するものとして、使命として、やるべきことをやってるだけなんじゃないかって。

……でも、ふふ、私の考えすぎでしたね。
こんな遠くの知らない場所でも、楽しめちゃうっていうのは。
今の先輩だからこそ活かせる、とびっきりの才能ですもんね！

あの、さっき言った通り。休暇はたくさん申請しました。
やりたいお仕事があったら別ですけど……やりたくないやつは放り投げちゃって。
その分のサポートくらい、私できますから！

それで、その……。
写真の人たちと、また息抜きに行くっていうのも、いいんじゃないですか。
そりゃちょっとは私の先輩なのにズルい、って思いますけど……。

今は遠くても、いつか帰ってくる昔の先輩に私はたーくさん構ってもらいますので。
今の先輩は今の楽しみを、目一杯満喫してくださいね！

生体娯楽天使:2号機
レパルト・リリー