Eno.528 わしししょう

のんびりなみにゆられるわし

救助船は出航し、皆ですごした島が遠ざかってゆきます。
あわただしい日々がうそのように、しずかな海の上です。

でも、三人そろった船の上はまだまだにぎやか。
持ちこんだおやつを食べ食べ、それぞれのお話。

「皆、自分の道を頑張ってゆく。ワシも負けてられぬぞ」


形あるものも、形のないものも、大切に持ちかえって。
わしは、飛べない羽を大きくひろげて、高みをめざします。
幸運と筋力に出会ったわしは、知恵の大空を羽ばたくのです。

この船旅は、冒険のおわりで、帰り道。
そして、あたらしいはじまりでもありました。