Eno.590 所謂 なずむ

所謂なずむ

この島で所謂なずむの秘密を知ったのは1人だけ。






ゲームに勝った、勝者だけ。









『銀河ライフラジオをお送りいたします。
 第27銀河、土の惑星ことルプル星は宇宙条約規定に乗っ取りこの度正式に"資源惑星"として各惑星の管理下に置かれることに———』




第27銀河-ルプル星-。特殊な磁場が星を包み、陽の光がわずかしか届かぬ土の星。
他の星は、この星には生命はいないと判断した。
この星の住人は全て、星の記憶が作り出した過去の模倣。
大地はもちろん、動物、植物……わずかしかいない、精神を持つ人型も全て星が作り出した土人形であり、全てが星の記憶たち。

故に資源惑星。搾取されるためだけの存在。



かの星は多くの資源を蓄え、そして誰かに奪われる日々。



『次は宇宙の話聞かせてね!』





所謂なずむにとって、宇宙というのは辛い場所でしかなかった。







『CMがあけましたね。
 ルプル星人は精度の高い擬態能力を持ち、また核部分を破壊しないかぎり再生し続けるらしいですね。
 攻撃性はあるんでしょうか?』


『精神を持つ個体が少数ですから、脅威ではありませんね。むしろ温厚な種族です。
 彼らの星は光が少ないので、目が悪いのも特徴の一つでしょう。』


『ですが、あの星の土は素材としてとてもよく、今話題の××社が計画に————』




『ナズムの星も大変そうなのダ。
 健やかであれ!』




銀河歴○○××年、複数の惑星連携により資源惑星-ルプル星-は解体された。
もうどこにも、あの星はない。



陽の光が、強すぎませんように。

(痛いくらいに皆が私達を見る)



風が、手を取ってくれますように。

(無理矢理引きちぎられる、連れていかれる)



交わることを、恐れませんように。

(いらない記録を押し付けられる)





星の記憶が、途絶えませんように。

(元の形を忘れないように)













『銀河ライフラジオを速報をお送りいたします。
 ■■■■社の運営する運送船が輸送中に事故。原因は整備不良と言われていますが真相はまだ明らかになっていません。
 また、荷物の一部が"地球"へと落下したらしく回収は困難と—————』





『なずむ隕石で来たから』




『先輩ってそうだったんですか!?』




『地球の女の子は頑丈じゃないんだぞ』





「最初に見た人間がこれだった気がするから、模してるんだ」






島の生活は大変だったけど楽しかった。
なずむは土人形だから寝る機能がなくて、寝たふりをするかみんなが寝静まった後に外を散歩ばかりしてたけど。


『なずむが無事に帰ってきてよかった』


『先輩だいじょうぶ~?』



怪我をしても大人しくしてればすぐ直るから、あんなふうに心配されたのは初めてだった。
なんとなくむずがゆいってああいう感じなんだろうね。


『死神ムーブなんだよそれは。』



何言ってんだ、なずむは本気だよ。
君が死ぬときは会いに来てあげる。
ちゃんと秘密を墓までもっていったか確認しないといけないから。

「ねっ、諏王ちゃん。」







あっという間の一週間。
まるで夢のように過ぎ去って、そう、そうだね。
これはいわゆる所謂 泥の見た幸せな夢なずむ だったのかも。















所謂なずむ
HO「宇宙人(星の記憶)」
やりたいこと「雨の日の夜に人の姿をやめてお散歩」
お気に入りスポット「漂流船」

【お里情報】
お里ネ-ム:土の惑星-ルプル星-
お里レベル:0(もうその星はありません)
特産品:土(現在は各星の保有する資源になっている故入手困難)