Eno.69 キリル・クリロフ

別れの時

今回もまた、この「海」から去る時が来たようだ
やはり「海域」の端であればスキルも起動するらしい
記憶付箋スティッキーノートの発動は分かりやすいからな
まぁ基本自動発動というのもあるのだが

名乗ってもらった為、私が彼らを見間違える事はない
まぁ若干名、特に別の船に乗っている人物は分からない可能性があるが……
名前を知っていればより分かりやすい、というだけの事だ
忘れる心配はない
もっとも、今回の同行者は、再会したところであまり喜べる状況ではないかもしれないが
ただ、他にも数回異世界に行ったという青年は正直分からないのではないだろうか

故に、あまり再会を願う事はしないでおこうと思う
そちらの方が、彼らの幸いに近いのなら

なので、記憶付箋スティッキーノートの分は仕方ないとして
それ以上の記録は止めておく
忘れはしないが、私の胸に秘めておく為に

……とはいえ、再会の可能性そのものはゼロではない
だから、個人として覚えてはおく。それは、間違いなく
再会こそ願わないが、無事は願う。幸いを願う
そして「万が一」の再会があった時は、それを喜ぼう

では
今一時別れといこう
この「海」が望むのであれば、また来るが
彼らの今後と、それまでの平穏を願って








まぁ、当面は
最悪異世界間誘拐になるだろう保護すると決めた彼あるいは彼女の面倒で、手一杯だろうが