Eno.256 三巳 千葉

ひとりじめ

「ち〜〜ば〜〜兄っ!!今ん今までどこ行っとったと!?」



「あー、みみみ。久しぶりばい。忘れとらんばいうで何より……」

「……心配かけてごめんな。ちょっと色々ありすぎて……」


「……ん、あれ? 由良さんは?ここしゃぃおるて思うて近くにおろしてもろうたっちゃけど……」


「由良しゃん?今おらんばい!どっか出かけとーみたいよ〜っ」

「……それより、あいらしかあいらしかみみみば放っといて、どこ行ったんか聞いとーっちゃけど!」


「……おらん?ほんなこつね?そげんことある?……なんかタイミング悪かね……」


「……えー、で。そりゃ説明するとほんなこつややこしゅうて……」

「あ、そうや。みみみ、これやるばい」


「む、物でみみみば釣るなんて100年早……」

わ〜〜っ!!何これ!?ばりすごかキラキラしと〜〜っ!
 銀杯!指輪!?これ本物〜〜っ!?」


「多分な。それらはお土産。みみみん好きにしてよかばい」

「……まあこれで許せってわけやなかけど……みみみ、説明するとは後でもよか?」

よか〜〜〜〜っ!!こん海賊帽もボロボロばってんばりイケと〜〜!部屋に飾ろ〜っと」



「……我が妹ながら、こん単純さは将来ば不安になるけん……」



「? なんか言うた?」

「なんも」



「あ、そういや。よろづといちかちゃんは?」

「よー兄といっちゃん?元気ばい!」

「ばってん、どっちもばりちば兄んこと心配しよったばい!
 早う顔見しぇちゃらんといかんよ!」

「まあ顔は見せるつもりやけん……
 ……そうか、いちかちゃんには悪かことしたなあ。なんか手土産でも持って行かんと……」

「えっ よー兄には?」

「何もいらん。顔見せるだけで十分やろ」

「そうなん……?
 ……まあ、今は二人ともお家いる時間やし、早速会いに行こ!ちば兄!」

「そうばいね……」




「…………」

「? あっ、そん金貨何?お土産?」

「自分用んな。思い出覚えとくために御守りにしよう思て」

「思い出〜〜? そげん楽しかったことがあったと?」



「……ん、まあたくさんな」

「……語りきれんくらいにはあったばい、ね」