Eno.179 翠色の髪の少年

その後の、スイと言う名前の少年の話。

どうにかと島から出て。 いくらかの荷物を詰めて持っていって。ついには船で何人かを見送って。
――そうして、あの島に流れ着いてから何度目かの朝日を迎えて少したった頃。



今俺は旅をしている。
元いた所、と言われても俺の元いた所は分からないからな。

そうそう、俺だけじゃなく、
ビスケットもついてきている。
二人旅ってのも楽しいな。

で、今の場所なんだが…平和そうな場所だ。
歩きやすい道に、水や食べ物には困らなさそうで
舗装された川沿いに桜が咲いている。

ああ、あと空が綺麗だ。
あの島のような暑さは…どうだろうな。
今の所は無い。

暫くしたら、また違う世界に飛ぼうと思う。
未知のものも、壮大なものも見せたい。

どこにでもついて行く、って言われたんだ。
楽しい思い出が沢山積み重なっていけばいいなと思う。

あの島での出来事が懐かしくなる時も来るだろう。
その時は2人で笑顔で思い返すんだ。


しっかりと手を繋ぐ。

長い永い旅は始まったばかりだ!

微笑んだ。