Eno.42 空にて寄り添う、二つ星

~そして、それから~

――辿り着いた其処は、白く、冷たく、そして暗い建物の中だった。

しん、と、静まり返った床に、  は辿り着いた。
尤も  にとって、此の暗さは大した障害にもならないのだが。

てちとて、てちとて。
音無き歩みで、  は進む。
直感が、告げているのだ――“わが      は ここ に いる”と。

ほんの僅かに開いていたドアへ、擦り抜ける様に入っていけば。
其処には、何本ものコードに繋がれた、萎びた様に皺苦茶で枯枝の様に痩せ細った老人が、寝床に横たえられ。
其の周囲に、幾人かが集まって、老人に向かって何かを呼びかけ続けていた。

直感が、本能が告げた――かの老人こそが    である、と。

周囲の者は、入り込んだ  に気付かない。
当然だ、だって  は幽霊なのだから。
だから、恐らく    も、  には気付かない――

「…………、……、?
 …… 、 …………  ……?」


――!


* * *


私は、ずっとずっと、悔いていた。

あの無人島に、  を置いてきてしまった事を。
せめて、彼処で埋めずに、躯だけでも連れ帰ってやれば良かった、と。

そんな後悔を、ずっとずっと胸に秘め。
其の儘、こうして老いて、もうすぐ事切れようとしている。
きっと、私は地獄行きだろう。



だからこそ――だからこそ、幻覚かと思った。

だって、あの子が、  が、直ぐ其処に現れたのだから!



力の無い腕を、精一杯、  へ伸ばして――



* * *


あぁ あぁ わが かいぬし      よ!
わがはい は ここ に いる ぞ !
がんばって かえって きた ぞ !

嗚呼、嗚呼、私は夢を見ているのだろうか?

ゆめ では ない ぞ !
まちがい なく わがはい で ある !
かいぬし の    で ある !

嗚呼、嗚呼……よく、よく帰って来てくれた。
有難う、  ……
此処まで、とても大変だったろうに……


うむ !
だが      に あえた !
それ だけ で わがはい は もう だいじょうぶ だ !
これから は こんど こそ ずっと いっしょ で ある !

うん、うん……そうだね。
じゃあ、一緒に行こうか。


うむ !
そう だ せっかく だし わがはい の たびじ を きいて くれぬ だろう か ?

勿論。
是非とも、聞かせて欲しいな――














*ピ――――――――*

「……御臨終です」
「あぁ、お■さん……!」「お■■ちゃん!」



* * *


かくして、此の物語は、此れにて閉幕。

其の日、天に召し上げられた彼等は。
寄り添うように、煌めく星と成ったのだった――



Ending : EX
空にて寄り添う、二つ星 - True Happy End -




シマナガサレv2.5お疲れ様でした!
しろねこ(推定)は旅立ちましたが、クリトラで縁があったら夜露詩句な!!→:/ http://ct.428.st/?mode=profile&eno=123 /: