浅岡百合子
彼女の手はいつだって届かない
彼女の本音はいつだって届かない
高校時代に抱いた淡い想いは口にすることも叶わなかった
彼にとってはよくある人助けの一つ。
教室でよくある話をして笑っていた子が周りを壊したいと思っていたことを
知った時には彼女はもう、向こう側だった。
妹が侵略者側で、無意識に刷り込まれた居場所と存在でも
仲のいい姉妹に、終ぞなれなかった。
彼女は、主人公にはなれない。
いつだって、誰かのお話の端役だ。
それでも、彼女は進む。
浅岡百合子という自伝の頁を、一日一日増やしながら。
――異世界漂流の章、了