Eno.396 最寄近場

【遭難記18】





「ハァイ、ご機嫌いかが?」


「良さそうに見えてんのかい?
 危うく税関に引っ掛かるとこだったぜ。
 らしくもねえ身分証明書出すとこだった。あぶねーあぶねー」


「そ? 良さそに見えるぜ。
 だってあのダウンハイヴが捕まるわけねーじゃん。
 毛ほども心配してねーよ」


「さいで」


「にしても随分と長い休暇だったねえ。
 積みゲー解消するっつってた割にはGPSも反応しねーしさ。
 いったいどこの僻地に行ってたのよ。旅行かい?」


「遭難してた」


「ああん!?」


「オイ冗談は休み休み言えって~。
 いや一週間休んでたけどさあ」


「マジだって。俺以外にも遭難者居たし」


「じゃ参考までに聞くけども。
 誰と一緒に遭難してたワケ?」


「───さあ……一体どこの誰だったかな」


「あらまあ。
 じゃあ誰一人も覚えられなかったか。いつもの奴だね」


「まいいや、仕事の話持って来たぞお」


「クソ、怒涛の一週間過ぎて全然休んだ気がしねえ。
 もう仕事かよ~~~早くないかあ?」


「そうは言っても新年度ですしお寿司。
 来てるぜ、三冠王のご指名がよ」


「……三冠王……まさか。
 おい冗談じゃねえぞ、断ってくれ。
 金輪際俺は肉体労働しねえって決めたんだ」


「そのまさか!」




















「来てるぜ、招待」

「…………勘弁してくれ」








To Be Continued!