この世界は狭くて、それでいて広くて。

「……んー、んんん?
ふぁれ……?」
ぽゃ、っと眼を開ければ、海の見える海岸。
目を擦って……

「痛った!
ねっむ!
てか身体だっる!」
擦った手についたさらさらの砂が目に入る。
痛い。
というか妙に身体がだるい。

「血が足りねぇ……血が足りねぇよぉ……。」
身体をぼすん、と砂に預ける。
言い文句はアレだが、まともな血液を採っていないので当然。
大人しくしてたから、生きた肉……船員さんを襲わなかったし。
……襲わなかったし……?
…………。
……。

「ダメか、ヴィおにーさんの視界奪えないや。」
目を瞑って試してみるけれども、上手くいかない。
"向こう"ではそういえば一度も試してなかったっけ。

「夢だったのかにゃぁ……。」

「夢だと思うのさ?」

「うぴゃぁあああびっくりしたあああ!!!」
ぼそりと呟いたら真上に白いもふもふが突然、音もなく、気配もなく。

「は、え、何、死神じゃん。
あたし今回は何もしてないよ?
てか羊の死神さんおっひさー?
って羊のってことはここノクチュルヌ?あれ、シルクランドじゃないの?」

「落ち着くのさぁ~。
ここネヴァダの先なのさよ。
ついでに不法世界渡航の容疑がかかってるのさよ。
裁かなきゃいけないのさよ。
そもそもキミブラックリストだし。」

「……。」
端と端じゃん!!海渡っちゃった感じ……?
それよりも世界渡航……?
あれ、ストロールグリーン……の件はもう撒いたし、……っていうかその件であたしはシルクランドまで国を渡ったんだし。
でもコイツらが世界を渡るのを間違えるわけはなくて、だってそのために網を張り巡らせてるんだから。

「……。」

「……のさ。
何笑ってるのさ?」

「ん~?
ちょっとね~。
無人島での生活がユメじゃなかったんだなー、って思って、物思いにフケる?ってカンジかな~っ?」

「……。」

「にしし。
何~?突拍子もなさすぎる話で信じらんないってー??」

「んーん、逆なのさよ。」

「ほぇ、逆。」

「ボクにも……うぅん、ボク達にも似たような経験があるのさ。」

「ふぅん、へぇ……?
でもそれって。」

「……あっ。」
つまり、不法な世界間渡航をしたってコト。……口を滑らせてしまった。

「………ねーねー、見逃してくれなぁ~い?」

「う、ううぅうん……
……しょーがないのさ、ねぇ………。」
ボクはこの吸血蝙蝠に弱みを握られている、逆らえない……のさ。

「にししっ、やりぃっ。
……ねーねー、そっちはどんな無人島だったのー?」

「えぇっとね……ボクたちの場合はなのさね……――