Eno.26 アルセ・K・ディアス

おしまいの後

こうして今回の異世界の孤島での滅茶苦茶な冒険は終わって、『おしまい』の字幕が流れた後のほんの少しの続きも終わりを迎えた。
かつて『最も近くて遠い誰か』に冒険者の夢を託して、後は消えゆく身だったアルセが今になってこんな冒険をするなんて夢にも思っていなかった。

けれどエンドロールは流れない。確かに一つの冒険は終わったけれどアルセはこれから日本に戻り、そこでもう少しだけ苦労するかもしれないけれど家に帰ってまた日常を過ごしていく。
その日常の中で時折今回の出来事を思い出すのでしょう、こんな冒険を忘れるなんてそう簡単には出来ないのだから。

かつてアルセが居る世界線の日本のとある都市で起きた一つの大事件が終わった後に一度スポットライトが当たらなくなった時もエンドロールは流れなかったし、もちろん終わった後の拍手も一切響かなかった。だから今回もカーテンコールは不要。

まだアルセ・K・ディアスの物語は終わらない。またいつかスポットライトが当たる時が来るまで語られる事の無い日々を送り続ける。

此度の出会いに感謝を。