Eno.189 シャバラ

その後の話

「ヤマさんこれ!ネックレス!部屋にでも飾っといてください。アンタもうネックレスジャラジャラだし。」

「それから手紙。無事に帰れたら渡そうと思ってたんです。お暇な時にでも。」

「えーっと、それからそれから…」

「落ち着けって。俺は逃げないから。」

帰ってから、島のお土産やら話やら、沢山沢山話をした。
あと、心配かけてごめんなさい、とも。

「帰ってこれたならいいんだよ。」

ヤマさんはそう言って、笑って。
俺は日常に帰ってきた。

海とは無縁の乾いた砂漠の真ん中。
もう、倉庫も、拠点も、蒸留機も、キノコもないけれど。

でも思い出はちゃんとこの首にかけられているから。
だから。

「…また、会えるよな。」

波の音が、聞こえた気がした。