Eno.11 レイモンド・マクファーソン

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「そう…あれは俺が星がきらめく夜に、彼女と星を見ていたときだ…」



今宵も2人小高い丘で、夜空を眺めていた。
月のない夜、一際に元気な彼女とでかけていた。

山に比較的囲まれた俺たちの街は、発展途上にあり
この時間となれば建物のあかりもまばらで
夜空がとても綺麗に見える。

俺は生まれてこのかたこの街住まいだし、海は見たことないけれど、こんな感じかななんて言ったら。

「私は一度だけ見たことがある。
 青々とした草原のようだった、それでいてそのものが生きているような。
 …暫く、行っていない。」

暗がりでもなお姿を見失わない、真紅の髪を揺らして。

「じゃあさ、今度行こう。
 ここは内陸にある国ではあるが…」

方法はなんとかなんだろ、と言えば
真紅の瞳が困ったように細められた。

「海か、…いつかレイと行きたいのである。」
「俺も行きたい!二人で一緒に行こう、ルヴィ。
 あっ…でも流水だからきついかな。」
「多分大丈夫だろう…わからないがな。」

なんて、和気藹々と会話をして…

「いたはずなのに俺のルヴィは?!!」



おかしい。
夜空を眺めていたはずだ。
目の前の星空は、今や水平線となって
見渡せば海と砂。なにもねえ!

まさか恋人を隣にして寝落ちでもしたか。
異世界にでも急にとばされたか。
置かれた状況、まさに遭難とでもいうべき状態だ。

だったらどうにかして、帰らねばならない。
一つ深呼吸して、どうにかなるだろ。
そんなふうに楽観視して、とりあえず砂浜を歩き始めた…

「んっ?ていうか愛銃持ったままじゃないか!?
…あ!しかも魔弾撃てないし!…どうすんだこれー…」