Eno.181 潮彩のリューカ

とあるテイマーの昔話

わたしがこの島にたどり着くまでの事情を話すと、とても込み入った話になる。
まずはとあるヒュマモンテイマーの、ありきたりな日常の話からしよう。

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その日の朝も、柔らかな日差しとトーストの焼ける匂いに誘われて。わたしは目を覚ました。
急いでリビングに駆け降りると、そこにはリヴィラナがいた。

「おはよう。昨日はよく寝た?」

おはよう、リヴィラナ。朝ごはん作ってくれてありがとう。


ヒュマモンテイマーになった8歳の頃から、
わたしはパートナーのリヴィラナと一緒に暮らしてきた。

わたしの父さんは、ヒュマモンの研究者。
けど今は違う国で働いていて、なかなか帰ってこれないらしい。
母さんもいただろうけれど、わたしは自分の母さんの、顔も名前すら覚えていない。

だからリヴィラナは、わたしの相棒にして、一番身近な家族。
本当に大切な、かけがえのない存在だった。