Eno.206 エンティティとフィン

漂着した でっかいのと ちっこいのの 会話

(ざざーん……)
(波打ち際に、よくわからないのが打ち上げられている……)


「ティティー!
 だ、だいじょうぶ? いたいいたい、する?」

「落ち着いて聞いてください。
 実は私、身体の感覚が大変なことになっています。
 いえ、負傷はしていないのですが、それ以前の問題として。
 形状をなんとかする間、動かずに待っていてくれますか」

「わ、わかりました!」


(ごそごそ)


「……お待たせしました。これで身動きには苦労せずに済みます。
 君は大丈夫ですか、フィン。随分と薄着のようですが」

「だいじょうぶ、ですっ」

「それは何よりです。さて、それでは、状況の確認からしていきましょうか」


「…… ……」


「他にも漂着した方がいるようですが……
 もしや、私の他は、華奢な方が多いのでしょうか。
 敵性生物と誤認されると、たいへんまずい状況では?」

「ティティ、だいじょうぶ?
 わたし、ティティのこと、せつめいしたら…だいじょうぶ、になります?」

「確かに、人畜無害そうな君から接触する方が、警戒されにく……」

「……ん?
 待ってください。君、靴はどうしたんですか」


「?」
ノーガードの素足!


「漂着物だらけの海岸を、素足で歩こうなんて正気ですか。危険にも程があります。
 安全性を考慮して、私が運ぶので、君は警戒されないように、全力で祈ってください」

「わかりました! おいのり、まかせてくださいっ」