RECORD

Eno.7  の記録

*与太話

 

「自分の願う事が叶わないと知った時、生きるために……いや。
自分が思うままにする為だったら戦争するしかないんだよ。抗争とかなんでも言い換えて良いけれど、
我を通すんだったら争うしかない」

「……過激ですねえ」



三層に分かたれた地下都市の一般的に最下部とされる下層。
古さが垣間見える教会の台所にて話す影が二つ。他愛のない、世間話だった。


「戦争なんて単語を持ち出すなんて余程と物騒ではありませんか? ニエ」

「物騒? どうして。自分の為にやれることは何でもするのは当然でしょ」

「……、……お強いんですね」

「違う、アンタが弱いんだよナズ。
アンタみたいな恵まれた産まれの奴は
あたしみたいに今日生きれるかも分からない奴の生活なんか知らないんだ」

「……返す言葉も思い浮かびません」

「ほら、今だって何も言い返さない。そういう所からして顕著だよね」



「……ですが、その。然し…――事を起こすしかないとは言いますが、果たして。
そう思う内の何割がそれを実行に移せるか……ましてや、功を成すなどと」

割合一般論なんかで見ないでくれる? 今はあたし個人と話してるんじゃん」

「個人に焦点を当て続けても大衆を望む事は出来ないでしょう」

「じゃあ聞くけど、アンタらの信仰の根っこにあるのはそれこそ個人じゃないの?」

「…………」



「変わんないよ。個人思想の押し付け合いだって」


「子供ってね、何が何でも愛されたいもんなんだ」


だから、その時が来たらアンタは死ななきゃならないね。
他愛のない、世間話のつもりだった。