RECORD

Eno.263 ユビアサグラーダの記録

手紙/1

【王国文字からの翻訳】

親愛なる近衛騎士団の兄弟たちへ


日記をつける闘技者は多いそうですが、俺には馴染みがないため手紙の形で残そうと思います。
この世界に来て数日が経ちました。俺達の世界とは技術、文化、思想においても違うものばかりで、驚いていない時がないほどです。

今日から闘技場での戦闘が解禁となり、俺も新しい環境でなんとかついていこうと頑張っています。衆人の前で騎士団の技術を晒すなどと──教官に知られればどれだけ叱責を受けるかわかりませんが、今の所同郷の者は見当たらないので、大目に見て欲しいところです。

一番驚いたことしては、闘技者たちの多種多様なあり方についてです。俺をさしたる異常と捉えないどころか、それ以上に目を見張るような存在が跋扈しています。
そんな者たちが、まるで旧知の友のように語り、笑い合う中に俺も確かに居たのです。想像もつかないでしょう?

食べたこともない菓子を奢ってもらえたり、ぬいぐるみのような生き物の手助けをしたり、やたらと強い鳥に教鞭を賜ったり、その場の皆と──よりにもよって──背丈比べの話をしたりしたのです。

本当に楽しくって、心の底から悲しいです。

長くなりましたので、今日はこの辺りにします。


         53番 "蛇腹"のリンドロンド より