RECORD

Eno.272 『残響』の記録

とある物語

レウムのあらすじ
それは誰かの願いが<b>『勇者』の概念を持って発生したヒトガタ
その場に合わせて調整され、周囲を当然のように助ける、その場限り、とっても都合の良い使い捨て人形
そんなモノが、とあるシマに、人々とナガサレてしまいました
概念は与えられた『彼らに望む結末を』という使命の為、心よりの読者への親愛に尽力しました
その概念は指南性は勇者、まあつまりとても人懐っこい、そして染まりやすい性質だったので、なんだか陽気に明るく、そしてちょっぴりトンチキにですが形成されていきました
夏休みは終わります。読者は現実を見なければなりません。概念は空想なので消えるしかありません
最後は少々その立場から逸脱し、叫んだりなんかもしましたが……ええ、全ては終わる事。選べるのは終わり方だけ
概念はそれならより、晴れ晴れと、そして自分が朽ちる前を選びます

概念は、笑って笑って物語はずっと傍に愛すべきお前達に祝福あれと伝え、自分勝手に消えていきました

さて、それからしばらくして。
創作者プレイヤーは運命のイタズラのように、同じ場所、同じ縁でもう一度、と無邪気に選択します
あら大変。あの時消えたはずの使い捨てレウムが、また同じ記憶を持って発生してしまいました

概念は自分の最期を知りました
概念は自分に『使命』以外の気持ちがあるのを知りました

そしてそれは物語空想には許されない、違反行為……存在を壊す程の、悪い考えである事も

なのでその想いに曖昧に蓋をします。まるで春休みの終わりを見ないふりするように。まるで自分に何も故障がないように
まあ、そんな蓋に意味はなく。優しい凡人に抉り取られてしまうのです
もう既に壊れている使命から逸れ過ぎているという言葉はその存在の心臓を貫き
<rt>あなたの願望は</rt>レウム</rb>の意見は</rb>という言葉はその存在の願望を暴く


願望『もう別れたくない』使命『前と同じようにすべし』は、両立出来そうで、しようと思えば摩擦を起こす。起きた摩擦は空洞から体を燃やす。悪い子はここだ。役目に殉ぜない悪い子はここだ

そんな悪い子には勿論。天罰が下ります。もしくは世界の愛なんて、こんなところには届かないのかも
その体さえも、擦り切れ擦り切れボロ雑巾。今のお前に何が出来る?慰めを受けるだけのお前に
『使命』にただ殉じる事も出来ない。『願望』のようにみんなの役に立つだけの事も出来ない

たすけてほしい。たすけて、たすけてください。こんなところでおわりたくない

……人々が助けを求めるとすれば、それは親愛なる者や親だったり。そんなものでしょう

じゃあ、物語空想は?彼らは何に助けを乞えば良いのでしょう?


……さて。この島には、今回も、前回も、作家が一人、流れ着いていました

見てくれは異形ですがまあ、このシマではよくあること。常識人なだけむしろ真っ当であるとすら言えます
その作家は前回、この島の記憶の結晶を作る、という漂流者全体で行った大偉業の締めくくりである『執筆』を行いました

概念は知りました。自らを削ってでも、物語空想物質現実にする、その物語空想からすれば何よりも尊い行動を

そんな素敵な作者様。島から出ても、道理分からぬ人間達に拒まれまたまた同じように流れ着く
何処にも行けずに、宴会よそにひとりごつ
そこに現れる勇者……いいえ、ただの、壊れかけの概念。弱りきって、同じく帰る場所のない愛すべき作者の弱みを突く悪い子

そして概念は、作者に言います。たすけて俺の存在証明を
そして作者は、概念を脅します。それでいいのか?存在の変質

……まあ、そんなのは、物語空想からすればラブコール。無辜の願い、作者の欲望、そんなものは全部全部愛としか受け取れないのです。この愚かなモノ達は

結果はまあ、分かっていた事でしょう。概念は、得るとすら想定されてなかった意思により、物語に、そう、使い捨てでない存在に、成れると、決まったのです。

……その後?さぁ、分かりません。ですがきっと大丈夫。ハッピーエンドって、皆さん好きでしょう?

そして、この数奇な物語は同じカタチと同じ記憶を持って、そっくりさん『残響』を生み出した