RECORD

Eno.34 シャルティオの記録

【3 あたたかな居場所】

 
 気付いたら、酒場の喧騒が怖くなっていた。
 酒場のみんなが嫌いな訳じゃない。
 ただ、あそこに居るのがちょっと
 辛くなっただけなんだ。

 心が悲鳴をあげている。
 心が休みたいと言っている。

 酒場から逃れて、穏やかなダイナーへ。
 そこにいる人たちはあったかくて、
 傷だらけの心がぽかぽかしたんだ。

 気付いたらダイナーを居場所にしていた。

「……ここのみんなが、大好きだ」


 これだけ穏やかな気持ちになれたのは、
 いつぶりだろうか。

  ◇

 とある人からアドバイスを貰い、
 ノアおにーちゃんにお手紙、出した。
 あなたがここを離れる前に、最後、
 ちゃんとお礼を言わせておくれ。

 後悔したくない。
 あなたに、どれだけ世話になったろうか。

 今は酒場に行くのが辛い。
 だから、おてがみを。

「……贈りたいものも、あるの」


  ◇

 ダイナーの交流の果て、“にーさま”が出来た。
 兄上とも兄さんともおにーちゃんとも違う。
 そのひとは、僕の“にーさま”だ。

「僕たちは──
 今日から、兄弟!」


 痛みがひとつ、消えてった。
 僕はこの日を、忘れない。