RECORD

Eno.641 Euthanasiaの記録

ハナイ騎士団座学:吸血種の捕食器

──これまで話した吸血鬼或いは吸血種の基礎は、あくまで“若い個体”に限られるとは、初めに言い置いた通りだ。
我々騎士団が相手をするのは基本的に極年若い吸血鬼が大半だが、稀に悠久を生きた吸血鬼を相手取らねばならぬ事態に陥る事もあるだろう。
なにせ吸血鬼狩りヴァンパイアハンターの大半は吸血種だからな。彼等を未だに忌み嫌う者達が吸血鬼に襲われた場合、吸血種達の助力は望めない。……当たり前の話ではあるが。

さて。永い時を生きた吸血鬼の最大の特色とはなにか。
……吸血種の同僚が居る諸君等には今更の話やもしれんな。そう、「第二の捕食器」の発達だ。

吸血種は捕食器として発達した独特の歯牙を備えるが、永く生きた個体はこの牙の他に、個々人に足りぬものをカバーする形で多種多様な捕食器を保有するようになる。
それは尻尾だったり、特殊な武器だったり、はたまた質量のある影だったり……一見それと解らぬものもままある。
熟練の吸血鬼狩りヴァンパイアハンターの敗北の大半は第二の捕食器によって齎される、と言っても過言ではないだろう。

この第二の捕食器への対処法は幾つか挙げられる。
最も有名なのは光魔法等による光量での封じ込めだな。初歩的な《ルクス》であっても効果は覿面だ。
よく勘違いされがちだが、神聖魔法は太陽神信仰由来のものしか効果がない。月夜神や暗黒神信仰由来の奇跡に至っては寧ろ力を与える羽目になる。
この辺りも、吸血種が身近に居る者ならば常識かもしれないが。己の信仰をこの2柱に捧げている者は気を付けておくように。