RECORD

Eno.7   の記録

揺り籠

 
初めて正しい意味で海と空の色を取り込んだ時、果たしてどう思っただろうか。
自身の髪色ともシスター服とも異なる、途方もなく広がっているあの青さ。同じ青であるのに水平線で混じり融ける事はない、あの広大な。


「……ひどく、おそろしい、」




こと自由に飛び立つにも遊泳するにも億劫になるほど、絶たる景観であったと思う。
これ程己は青いのに、それに混じり融ける事すらできないのだと。


絶景とは時に言葉を失うほどに美しいものだ。
そこにどうして穢れなど入れられようか。

そうでなくとも。
弱者というのは、強者に黙らせられる運命にある。

そう、愛を望み死んでいったあの子のように。



ここ暫くは眠ろうとしても中々眠れなかったのに、
この波に身を委ねればとろとろと眠りに落ちる事ができる気がして。

それは、なんだか───……



あとすこしだけ。