RECORD
Eno.208 《4i.無感動》の記録
幕間
『邪悪の樹』
第四位:無感動
む‐かんどう【無感動】:心を動かされないこと。また、そのさま。他人への慈愛のない状態。
アパシーと名乗る悪魔がその座に座ったのは200ほど昔の話である。
魔界にて上級悪魔だけが座する事ができる、暗がりの座。
我欲と悪徳にて身を構築する悪魔たちの集いに席を置いたその悪魔は、異世界からやってきた。
突如として訪れたというその悪魔は、気だるげに先代の無感動を文字通り『廃人』に変えて、その座に堂々と座った。
なぜ彼を狙い、そこに至ったかの理由を聞くと
「どこでもよかったのですが」
「一番自分が簡単に楽で入れる場所がここであったので」
邪魔だったから、どかしました。
ただ、それだけの理由だった。
それでも彼が受け入れられたのは、邪悪の樹のどの悪魔も実力主義の意識が強かったからだろうか。
あるいは、結局のところ人が入れ替わろうと互いへの認識など変わりようもないレベルで『無感動』という座に座る悪魔の性質が変わる事がなかったからかもしれない。
どこから来たのか、どうしてここに来たのか、どうやって来たのか。
そんなことは、問題にはならず。
アパシーもまた、彼らへの興味は好意にも嫌悪にもなりやしなかった。





しかしてそれがどう悪辣なのかはきっと情を持つ生き物なら理解できることだろう。
第四位:無感動
む‐かんどう【無感動】:心を動かされないこと。また、そのさま。他人への慈愛のない状態。
アパシーと名乗る悪魔がその座に座ったのは200ほど昔の話である。
魔界にて上級悪魔だけが座する事ができる、暗がりの座。
我欲と悪徳にて身を構築する悪魔たちの集いに席を置いたその悪魔は、異世界からやってきた。
突如として訪れたというその悪魔は、気だるげに先代の無感動を文字通り『廃人』に変えて、その座に堂々と座った。
なぜ彼を狙い、そこに至ったかの理由を聞くと
「どこでもよかったのですが」
「一番自分が簡単に楽で入れる場所がここであったので」
邪魔だったから、どかしました。
ただ、それだけの理由だった。
それでも彼が受け入れられたのは、邪悪の樹のどの悪魔も実力主義の意識が強かったからだろうか。
あるいは、結局のところ人が入れ替わろうと互いへの認識など変わりようもないレベルで『無感動』という座に座る悪魔の性質が変わる事がなかったからかもしれない。
どこから来たのか、どうしてここに来たのか、どうやって来たのか。
そんなことは、問題にはならず。
アパシーもまた、彼らへの興味は好意にも嫌悪にもなりやしなかった。

「権能の話をしましょう」

「わたくしの能力は主に精神に干渉するものです。
生存する上で発生するための自我の発する感情や欲を、根こそぎ奪うものであります。一言で申しますと───『無情』とでも言いましょうか」

「物理干渉もできないわけではありませんよ。そういう権能もございますが、ここで使う予定もありませんし、動かすつもりもありません。過度な行いをすると、弾かれてしまいます。必要がなければやる理由もございません」

「生きる上で、因果とは必ずあり、結果は因果が発生すればついてきます。情とは、その合間を繋ぐ糸のようなもの。小生はそれを断ち切り、捨ててしまう事が可能です。愛も、恋も、欲も、なにもかも。因果に付随する様々な過程を切り落として、身に収めます」

「特に、好きでも嫌いでもない権能です。便利でも、ないですね」
しかしてそれがどう悪辣なのかはきっと情を持つ生き物なら理解できることだろう。