RECORD
Eno.480 タラッタムー・スラットゥスの記録
ねずみは燃える教会の夢を見る
夢を見た。懐かしい夢だ。
ごおごおと燃える建物。うねる煙は獣のようにうごめいて。十字架に張り付けられていた人の像は溶けてもう顔も見えない。(あれが教会だということを後々知った)
神様も誰も見ていない炎の檻の中。
人間が二人、そこで殺しあっていた。殺しあっていた、という表現はちょっと違う気がする。殺意はなかったと思う。僕らが餌を捕るときとも違う。
互いに、互いをよく知っている動きだった。踊るように命を燃やていた。一閃一閃が重く、ただひたすらに研ぎ澄ませながら戦うさまは、一つの美しい戯曲のようだった。
僕はネズミなので、彼らがどうして燃える建物の中で戦いあっているのかとか、因縁とかそういったものは一切知らないし、理解もできない。
ただ、その戦いがとても奇麗だったから。
酸素が薄くなって気絶するまで、ずっとその戦いを見ていた。
王様じゃない僕は、ずっとその夢を見ている。
ごおごおと燃える建物。うねる煙は獣のようにうごめいて。十字架に張り付けられていた人の像は溶けてもう顔も見えない。(あれが教会だということを後々知った)
神様も誰も見ていない炎の檻の中。
人間が二人、そこで殺しあっていた。殺しあっていた、という表現はちょっと違う気がする。殺意はなかったと思う。僕らが餌を捕るときとも違う。
互いに、互いをよく知っている動きだった。踊るように命を燃やていた。一閃一閃が重く、ただひたすらに研ぎ澄ませながら戦うさまは、一つの美しい戯曲のようだった。
僕はネズミなので、彼らがどうして燃える建物の中で戦いあっているのかとか、因縁とかそういったものは一切知らないし、理解もできない。
ただ、その戦いがとても奇麗だったから。
酸素が薄くなって気絶するまで、ずっとその戦いを見ていた。
王様じゃない僕は、ずっとその夢を見ている。