RECORD

Eno.86 ダンテ・シンセシアの記録

痛い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。

心臓がなにかに刺されるような、いやそれよりももっと得体の知れない何かに掴まれてるような。
そんな痛みが絶えず襲ってくる。

いつもなら薬で何とかできたはずだ、だけどここにそんなものは無い。

あいつがこの体を奪いに来てる。

意識を手放しそうになる、けれど意識を手放してしまったら僕が僕じゃなくなる。

心臓の痛みが激しくなる、体を寄越せとあいつが言っている。

いやだ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

痛みに抗う 意識を強く持つ 胸を抑えたまま僕は部屋に入って床で悶えていた。

「誰か……助けて」



それからどれくらいたったか分からないけれど
帳は上がり外ではこちらの事情も知らない鳥が鳴いていた。

胸の痛みが完全に納まった訳では無いけれど多少はマシになった。

「はぁ……くそ……ここにいる間は好きにさせてくれるんじゃなかったのかよ……」

ふと飾ってある鏡が目に入った。

僕には自分の姿が、あいつに、もう1人の自分に見えた。

「だって貴方楽しそうでムカつくんだもの、それに貴方はそういう顔の方が良いわよ」



自分の口が勝手に動く、あぁ……このままじゃどうにかなりそうだ。

いやもうなってるのか?

このままここにいたら完全に狂いそうだ、少しでいいから外の空気を吸いに行こう。

僕はフラフラとした足取りで外へと歩いていく。

そうしないと自分が壊れてしまう気がしたから。
もう―――壊れているのかもしれないけれど。