RECORD

Eno.8 スフェーンの記録

EP8.5

◇出来事

朝からビールはやっぱりやめといたほうがいいと思うんだ、俺。
いやあのかわい子ちゃんも飲んでそういってたけど。
ここ胃が強い人多いよなァ、どうなってんだよ……

酒は嗜好品何だよなァ、茶とコーヒーに比べてよ。



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インカローズは男より随分早くに来ていたのか、そのカップはすでに空になっている。膝の上には携帯電子機器スマートフォン
スフェーン〜、と甘ったるい声で続けている。


「ルチルは今キッチンだし、レッピはまだきてないから暇してたんだぁ」



細い指先がコップの淵を撫でる。
暇、というのを指先で示す見たくして、少女の瞳は憂いていた。

「…」



今日も街中のお姉さんとお茶して別れた顔してるなぁ



どんな顔ですかそれは



呆れたようにスフェーンが呟けば、きゃあ、ってきゃらきゃら、口元で手を開いて笑っている。
何してたんですかと聞けば、スッピに早く来なよってメールしてたの、と指先が画面を叩いた。
戻ったホーム画面はごちゃついている。流行りのゲーム。流行りの過ぎたゲーム。乱雑していて、いったいどれだけのものを少し手をつけて辞めているんだろうかと眉根を触った。

「…整頓しないんです?」



「いつかやるかもしれないしぃ〜」



やらないやつの常套句を口にして。
まー、編み物の季節すぎちゃったからさ〜、これ触ってるのが一番暇つぶしだよぉ、と緩く目を細めていた。
これの手先は不器用で、その割に編み物やら、裁縫やら、指先を使うことを好いているのを、スフェーンは知っていた。
スピードは遅いが、持久力はある。
飽きはしないが、1作品作るのに大抵1ヶ月以上かかる。
そんなことをやっているうちに次の季節へと時間はすぎてしまうから。

「難儀だねぇ」



とはいつも笑うところだった。

まあ、作るのは楽しそうで何よりなことだけれど。