RECORD

Eno.122 花貫 渓の記録

Cordierite

「人口から見て、後天的に異能を発現してしまった人は少ない。」
「そしてその中でも、異能の発現を喜んだ人はもっと少ない。」

「何故か分かるかい?」

「異能を持つということが、平穏が損なわれることだって気付いてしまった人がほとんどだからだよ。」
「今の日本の法律は異能者を前提としない。」
「だから──」

「法の名のもとにおいては、僕らは人として扱われない。」

運び込まれた病院、その病室の一室
薄茶色の髪の彼はそう告げた。

……暫しの沈黙。
その意味をよく飲みこんで、彼は続ける。

「……脅すようなことを言って悪いね。」
「けれど、この事実を僕たちはよく認識していないといけない。」
「だからこそ僕らは、これからも変わらない日々を送るために」
「この力を、完全に制御していないといけないんだ。」

「初めまして、僕は……インストラクターとでも言えば良いかな?」

『コーディエライト』
後天的異能力者の支援組織
そして表向きは、青少年のカウンセリングを行うNPO法人。

これが彼──師匠と、この組織との出会い。