RECORD
Eno.208 《4i.無感動》の記録












悪魔の部屋に置かれた喋る石ころを撫でて、その隣に氷の粒を並べた。
奈落の底、更地の真ん中に立つ夢を見ていて。
契約の話

「拙僧、本来はきちんと契約書をつくりある程度の説明をしてから、契約関係に至るのです」

「面倒くさいので。
あとから話が違うと詰め寄られたり、抵抗されたりするの。
最初から縛った方が労力が少ないと気づきを得ました」

「今回は飛び込み営業が上手な方が来まして、結果こうなりましたが」

「後悔?いえ別に」

「契約は悪魔によってやり方も内容も異なります。
例えばですが小生と比べて愚鈍辺りなんかはもっと雑だったと思います。
アレに契約書が作れると思いますか?」

「僕は不安定もそこそこ怪しいと思ってますよ」

「大概は気に入っている人間を唆すのです。
人って儚いですし気ままですから、長らく手元に置くだとか、その他諸々」

「妾ですか?
……そう思いたいなら好きにしてくださっても。ええ。
この妾が力を貸して、向こうがそれを受けとり、後、対価を支払う。
そこになんの情が必要かは……分かりかねますけれど」

「私はリーズナブルでお安い悪魔だと思っています、別に独占したいわけでも、いたぶりたい訳でもないので。
やりたいことだって邪魔しません。時折見には行きますが誰がちょっかいかけようが、手を出そうが怒りやしませんよ」

「あ。とはいえ最低限の面子は守ります。
意外かもしれませんが、それなりにプライドはあるのです。
横取りされてもいいですけど、抵抗はしますよ。契約違反で覆される事自体はどうでもいいのですが、恰好はつけないといけませんからね」

「別に、無感情って訳では無いので」

「ちゃんと地獄に落ちましょうね」
悪魔の部屋に置かれた喋る石ころを撫でて、その隣に氷の粒を並べた。
奈落の底、更地の真ん中に立つ夢を見ていて。