RECORD

Eno.263 ユビアサグラーダの記録

鳥瞰

「………おっ………おお…………ヒェ〜〜〜〜〜〜〜…………や、やってんねえ師匠……!」




アホみたいな感想が出た。晴天の空の下、ねぐらでの事である。

先日の稽古、そして調停者との会談のあと。さて色々調べてみるかねと使いをあちこちに飛ばし、その初手で。
よりにもよって話題の人の核心に近そうな場面を見てしまうとは。

まあ、別に組み合わせの2人の関係については 別にいいとして ・・・・・・

「問題としては……欲求の出力がだいぶ歪んでるとこかな…?あと、このままだとウィルフレドが可哀想なことになる……」



只者ではないと覚悟はしていたが、かの竜の内面は、想像以上に剣呑な状態だ。
このまま彼の望みのままにしておくとして、産まれる竜はいずれ向こうの世界に行く。異物に荒れる世界にとり、ろくなことにならないであろう事はさすがに予想が着く。

なんならもうひとつ不味い事として──自分はあの竜に味方だ・・・、と言った。…あの手の手合いは、間違いなく己の行動に味方を巻き込んでくる。そして諸共爆死するのだ。おお、難儀。次からどんな顔で会えというのだ。

協力者つかいにかけた術を切り、ばたと床に倒れる。
調停者に言うべきだろうか。しかし。

「…思ったより情の話だったよなあ………」



例の親竜の話は全てを理解出来ずとも、そこにあるのがヒトのそれにも似た愛憎であるのは薄ら知ることが出来た。
これを知った上で、調停者が彼らをああ評したとするなら。

…今のエルノアウローラとぶつかれば、最悪、薮蛇では済まないかもしれない。もう遅い気もするが。


「…俺は部外者。部外者だけどね…」


何かしてやれないのかな。


…何かしてやれないのかな?

「………………」


起き上がる。まただ。また、要らないことを考えている。


ここに来てからずっとそうだ。

敵を知るため向かった店には顔なじみができ、必要も無いのに通い続けたくなったり。

そこで知り合った顔馴染みに、無茶を承知で無意味な世話を焼いたり。

今もこうして、他所の事情に顔を突っ込んでは、要らない心配をして時間を割こうとしている。

俺は何のためにここにいる。一秒だって無駄にできない。今だって、あの子のため、こんなに焦っているのに────




やっぱり真面目ですね、別にいいじゃないですか!せっかくのびのび居られる世界に来たんでしょう?



うるさい。こうしている間にも、あの子は、

そもそもそんな苦しい顔して、ずっと一人でいるなんてのが柄に合ってないんですよ!



僕の知ってるあなたは、もっと甘ったれでお人好しでしたもんね!



誰だ、お前は、


──だから、大丈夫ですよ!リンドさん!






そこから暫く記憶が飛んでいた。使いとの同期は精神を削られる。