RECORD

Eno.48 Siana Lanusの記録

◇22

「……あたしはこの身に選択を迫られてる。
 矜恃と心を護って身体を削るか、
 身体と命を護って精神を削るか」







私が何を望んでいるかなんて、言わなくたって分かるでしょ。
負けたくない、負けっぱなしは嫌。だから、だから。



「 ……勇者どもを殺せる、力が欲しい 」




  ─── 身体を削ってでも、刃を磨いて、一矢報いたい。


その刃が届かない事を知っている。けれども望んでしまう。
過去の事象に執着する事は水が淀む。分かっているはずなのに。
ずっと、ダガーの扱いばかり体に馴染ませてしまう。
言ったでしょ。私は、とっくに清流じゃない。





「シアーナ。お前には幸せになってもらいたい」

  ───私をここまで育てた師匠が、いつだかそんな事を言っていた。

「君自身のことを、幸せにして欲しい」

  ───私を好きだと示し続けたあのお方が、そう仰った。


だから、私は、誰かの道に着いて行った方がいいのだ。
望んだ道が破滅の道だなんて、嫌と言うほど分かっているから。
……そのために、誰かに心を預けられるようにならないとなのだけど
  誰かに心も身も委ねたいと思わない。安寧に羨望を感じない。

                厭でも分かる。ずっと 心が、 破滅を望んでいる。
                  この心で何を考えようと、破滅にしか行き着かない。


「どうしたものかしら……」



温もりの離れた手を握った。
それは祈りであった。