RECORD
Eno.160 ノラ・ドニーニャの記録
夢のあわい
刀身が打ち鳴らされて甲高い音が鳴る。
それからお互いを叩き斬ろうと、ギリギリと刃が擦れて嫌な感触が返ってくる。
練習用の、渦潮のような意匠の鍔を持つ、全く同じ規格の剣。
違うのはその多岐にわたる技たちの、五回の組み合わせだけ。
競り合う向こう側を伺えば、いつもと同じように鈍い光の碧い瞳が
僕を透かして遠いところを眺めていた。
その当然とも言える隙を突いて手首を返し、握る手に力を込めて柄で殴りつける。
華奢なブロードソードじゃできない——レギュ改訂でホントに別モンになったから——傭兵らしい、何でもアリの芸当が気に入っていて、
最近の僕は好んでバルゲンを試合前の届出に入れるのだ。
剣技に混じる突然の格闘技っていいよね……
……殴打をモロに受けた君が倒れて、硬い音が訓練場に響く。
「大丈夫?」
そういって顔を覗き込んでも、やっぱり光は鈍いまま。
その達観したような昏い瞳。
もし肩を貸したり、手を差し伸べる代わりに、
この切先でキミの顎を上げさせたら?
それとも脇腹の気門でも……
そうしたらまた、光は宿る?
初めて出会った時みたいに、強くオレを貫いてくれるかな。
「大丈夫だ」
「それより」「点数計算」
君の硬い声で我に返る。
何事も無かったかのように巻き戻った姿で、
ぬぼっと立ちんぼで僕を見下ろす君は、今日もそんなつまらない事を言うのだ。
それからお互いを叩き斬ろうと、ギリギリと刃が擦れて嫌な感触が返ってくる。
練習用の、渦潮のような意匠の鍔を持つ、全く同じ規格の剣。
違うのはその多岐にわたる技たちの、五回の組み合わせだけ。
競り合う向こう側を伺えば、いつもと同じように鈍い光の碧い瞳が
僕を透かして遠いところを眺めていた。
その当然とも言える隙を突いて手首を返し、握る手に力を込めて柄で殴りつける。
華奢なブロードソードじゃできない——レギュ改訂でホントに別モンになったから——傭兵らしい、何でもアリの芸当が気に入っていて、
最近の僕は好んでバルゲンを試合前の届出に入れるのだ。
剣技に混じる突然の格闘技っていいよね……
……殴打をモロに受けた君が倒れて、硬い音が訓練場に響く。
「大丈夫?」
そういって顔を覗き込んでも、やっぱり光は鈍いまま。
その達観したような昏い瞳。
もし肩を貸したり、手を差し伸べる代わりに、
この切先でキミの顎を上げさせたら?
それとも脇腹の気門でも……
そうしたらまた、光は宿る?
初めて出会った時みたいに、強くオレを貫いてくれるかな。
「大丈夫だ」
「それより」「点数計算」
君の硬い声で我に返る。
何事も無かったかのように巻き戻った姿で、
ぬぼっと立ちんぼで僕を見下ろす君は、今日もそんなつまらない事を言うのだ。