RECORD

Eno.281 埋火のグラディアドールの記録

調査記録.5 ナハネアウローラ

全て、全てが裏目に回っている。
あの触手の者の反応があまりに平静そのものだったゆえ、
気が緩んでいたのだろうか?

ナハネアウローラにとってその親が持つ真実はあまりに酷だった。
アムニアストゥーラ然り、ナハネアウローラ然り、
竜だという認識ばかりが先行してしまい、
そのあまりに人間らしい内面をすっかり見落としてしまっていた。

エルノアウローラを師事するリンドロンドの情報によると、
エルノアウローラはアムニアストゥーラを孕ませるつもりらしい。
ナハネアウローラの尊厳を砕き、
私の世界に竜を増やすという不祥事を私に着せる……
全方位に対する、悪意だ。

どこで道を誤ってしまったのだろうか。
メリッサやトレスレチェが息災である時はあんなにも溌溂としていたのに。
メリッサが死んだからか?トレスレチェが病に伏したからか?
私が学位を卒業し、あまりかまってやれなくなったからか?
父がエルノアウローラに悪戯をしていたからか?

『ひとりぼっちで寂しいから』『周りの人間はすぐ壊れる』『だからたくさん作る』
『こんな事は、人間たちでも珍しくない』

奴が言っていたという言葉を鑑みるに、
そのどれでもないし、その全てであるのかもしれない。

このあまりに残酷な未来は、どこかで避けられなかったのだろうか?


私はいつも、一手遅れる。一手足りないんだ。