RECORD

Eno.80 シトルーの記録

 
  いたい
      あつい


首の後ろ、熱で印を入れられる。繰り返し。
家畜の識別印と一緒。逃げない為の、逃げられない為の。

この印だけは、再生でも治癒でも消えなくて。
……なんでなんだろ。隠すのに髪、伸ばしてるけど。

時々、あの熱を、思い出すんだ。痛くて怖い、あの熱を。



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──海月の子供。


何度印を入れても消えてしまう。
再生能力は便利だったから買ってやったっていうのに。

ああ、ああ、そうだ。
妙な客がチップの代わりに置いて行ったアレがあった。
持て余してたんだ。ちょうどいい。

『術者の望む形の呪印を刻んで、
 対象は生命力を対価に、治癒能力を得る』


そう、説明していた使い切りのスクロール。

従業員に使うには代償が重い。
なら、再生するんだからちょうどいい。

印がなきゃいつ逃げたり盗られるか分かったもんじゃない。
これが駄目なら檻から出さずに使い潰すしかない。

上手く行けば儲けもの。
投資としちゃ高いが、……その分働いてもらうだけだ。

あれが身請けされた時、その分も上乗せしてもアイツは払いやがった。
金のある収集癖ってのは恐ろしいね。