RECORD

Eno.264 L = Agrostemmaの記録

双子、困惑。

……。


……。



双子は困惑していた。異境の地にて。
同世界タンザナイト出身である、通称「公」との婚姻についての話のせいで。

姉さん、えっと、公って、そういう噂、あったっけ。


特には、訊いたことが……。



公爵閣下ともなれば、まあそろそろ夫人の一人や妾の一人二人は居たところで、とは双子は思っていた。
それに選ばれたのが、姉・ランタナとも、お互いに思っていた。
ところがどっこい、蓋を開けたら。

……おれももらわれちゃうのぉ……?



弟・レンデンのことも、どうやら、そういう気であるらしく。
一応、嫡男ということになっている身、家のことやらなんやら考えることは数多あるが。

少なくとも、レン。貴方のことも大切にはしてくれそうで、姉は安心しました。


そうは言ってもさ……その……俺まったくそういう気がない、っていうか……


あら、認めてもらえて喜んでたくせに。ま、あのやさしさに戸惑う気持ちはわかるわ、私も。


「欲しいか?」なんて、初めて言われたし……用意してくれるんだぁとは、ま、まぁ、思う。



二人ぼっちの世界に、とんでもない衝撃が走ったわけで。
隙あらば「遊ぼう」と、武器を片手に本来なら触れることなど許されぬ高貴な青の、その首めがけて飛び掛っている今がある。

……。俺のために城用意してくれんだ……あのひとって。


レンが本気で欲しいと口にすれば、きっとすぐさま、ね。
あのひとの前ではあまり、欲しいと言わないようにしましょう。


そだな……。



困惑はしているものの。
ほんのすこしの、充実のような、なにか、ぬくもりを確かに感じる。
二人ぼっちじゃない、なにか。