RECORD

Eno.366 シトラス・オーランティフォリアの記録

ある日の酒場での天使の宣告

──場面は戦闘から始まる

光輪を背負った男が闘技場へと歩み入ってくる

「天使が直々に語る言葉は重いぞ」

「では、俺の言葉を良く聞くように」


罪の教え──「お前の罪は赤裸々と晒されている」
赦しの教え──「お前が心より改め悔いるとき、救いがある」
愛の教え──「求めず、与えよ」
とても古き罰──「旅人は枝を手折ったのだ!」
はじめの言葉──「光があったのだ」

「説法は終わり、忘れぬよう」

「良く響いたようで」


天使はパタンと経典を閉じると席に戻る

「のあー!!思い当たる言葉の数々……!重いっ……!!
ルードさん……対戦ありがとうございました……。」



「んな大袈裟に反応しないでよろしい 必要な言葉があれば持ち帰りなさい」

「夜のナンパ代わりだとでも思っておきな~」


「そういうものでしょうか。
ならば此度の天啓は胸の内に留めておこうと思います。」



「そゆこと それともなあに、そんなに今悩んでるのかい。下界の緑色ちゃん」

天使は慧眼である。人の子は懺悔を続ける。

「私の国キトルシアの歴史は罪の歴史でもあります。王女である私はそれらの全てをも背負わねばならない。
罪はいずれ暴かれるでしょうか。その時王は、赦され得るのでしょうか。」



「ふむ?では答えようか きみの国の罪は間違いなく明らかになり それはきみの身にも降りかかる、間違いなく」

「――必ず赦しはある、しかし それが現世、この下界にて叶うとは思えぬね」


「そうですか。」

「やはり。」



「わかってるなら聞くなよ~」

まあ、少し考えればわかること。余程の阿呆でもなければ。

「そのうえで国に残るのかね、きみは まあどんな国かも知らんし興味もないが~俺は」

軽薄な天使様ルードさんはヘラヘラと笑う。

「それもできないでしょう。」

「恐らく、いや、天使様もそう仰るなら確実に……キトルシアは、崩壊します。」



分かっていた。分かっていて抗おうとした。しかし運命は残酷だ。

「もしかしたらーっと思ったんですが、駄目みたいですね。
お手間を取らせてしまってすみません。」



「聡明だな、きみは そこまで見えているなら後はどうしたいかだけだろう」

「ま、好きになさい 言葉が必要であれば俺はいつでも祈りを聞くからね」


「ありがとうございました!ルードさん!
どうしたいか。私が、どうしたいか……」



国のため、民のため、母のため……
どれだけ剣を振るおうとも、運命は変わらない。
ならば、どうするか。自分はどうしたいのか。

……答えは出なかった。