RECORD

Eno.215 アカシの記録

記録

「……おぉ、その武器でここまで来れんのか。へぇ、やるなぁ……」



 今日も掲示板leader boardを眺める。
 最近は連闘の制覇者も増えてきた。
 こうしてあの場が賑わっているのは、オフシーズンからは考えられないことだった。
 今はとても楽しい。こうして切磋琢磨し合える人々がいるのは、今の俺にはとても誇らしいことだ。

「……」



 そうして、記録はまた移り変わっていく。
 一位を不動の座とするもの。
 先駆者として記録に残り続け、踏み躙られる者。
 相手が不明なる闇の中、誰よりも勝ち続けるもの。
 誰かに一番応援されたもの。

「……いやぁ、よくできたもんだ」



 こうして、みなが各々の目標へと走っていく過程を。俺は毎日のように眺めている。
 それだけで幸せなのだ。
 決して自分では踏み躙れない世界が、目の前に広がっている。自分はその中の一員で、人間として生きられる。

「……」



 そこに、俺の名前は残っているのだろうか。
 いつか、誰の記憶からも忘れ去られてしまわないだろうか。
 俺という"人間"だった記録は、何処へ。

「別に、トップを狙いたい訳じゃあない。だが……」



 悪魔として生きる。
 その休憩がてら、人間として生きる。
 仮にそのように振る舞うとして……
 生きるとは、誰かの記憶に残り続けることであり。
 多くの人の記憶に残るには、確固たる記録として残され続ける必要があり。
 己は、その条件を満たしていないのかもしれない。

「……結局、気にしてるじゃねーか」



 息苦しいものだ。
 はやく自分をチヤホヤしてくれる美女集団がデリバリーされないものだろうか、なんて。
 くだらないことを考えながら、今日も瞼を閉じる。

 腹が空いた。