RECORD
Eno.38 エヴラール・ラギエの記録








File_13 ダガー
「一般に短剣といえばダガーのことでしょう。
近いものだとナイフがありますが、そちらは武器というよりは切断用の刃物を指す語であるようです」
「私が扱っているものも、実のところはダガーではなくナイフです。
重さも刃渡りもこれ以上ないほど手に馴染んでいるため、
新たな物に持ち替えて戦うよりも良いだろうといった理由で扱っています」
「……しかし、大きさをなるべく変えずに諸刃のものにするくらいはしても良かったのかもしれませんね。
片側が鋸になっている都合上、どうも深く刺すのが難しく──」
「失礼、話題がそれました。ダガーの話に戻りましょう」
「見ての通り、剣と呼ぶには刀身がかなり短くリーチと呼べるほどのものはありません」
「一方でこの小ささから身のこなしの邪魔にならず、容易に隠せることから不意を狙うこともできます。
剣闘の場では狙って騙し討ちをするのは難しいところではありますがね」
「良くも悪くも、扱う者の技量と機転に左右される武器……といったところでしょうか」
「大きな武器を弾いたりというのは厳しいですが、
先述のとおり重さや長さが邪魔にならないと言う点からも、相手の一撃を躱しやすい武器ではあるでしょう。
……そのリーチから反撃に転じるのも厳しく、避けるだけでは興行試合として成り立たないでしょうけれど」
「切る、突く、躱す……そして不意打ちを狙う。
うまく使い分けられれば、大きく個性のある武器を相手にしても勝ちを狙えるでしょう」