RECORD
Eno.72 Rere Pia Goetheの記録
(ε)不可思議
《酒場の神》、サーニャ。
150年前の記憶にも、その存在感や笑顔は残っている。
それすら忘れる――正確には、埋もれる――程、未来視の情報量は俺には毒だった。
ああ、ラガーも心配かけちまったかもな。多分、視線を送られてた。
根本的解決にはなっちゃいないけど、タイムリミットが少しは長くなったんだろう。
なんで……優しくしてくれるんだろう。それはまだ、よく分からなかった。怖いような、暖かいような、何とも言えない気持ちなんだ。流石に面と向かって聞けなかったけどさ。
元々、この肉体は預言書の容れ物だ。ヒトやエルフの精神が入っていいものじゃない。
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物心がつく前に、容れ物として使われる筈だった。使われなくとも、その後のためにと殺処分が定石だ――大抵は耐えきれずに狂うか廃人になってしまうから。
それでも、俺は逃げた。逃がされた。逃げてしまった。
まあ、子供はそんなシステム知らないからな。
だから……だから、俺はどう足搔いたって出来損ないなんだよ。
すくったところでどうにもならない。
なのに、なのに――助けを求めてしまうのは、なんでだろう。
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郵便屋――〝MayBe.〟の言葉を、思い出していた。
そっと一人で飲むミルクは、少ししょっぱかった。
150年前の記憶にも、その存在感や笑顔は残っている。
それすら忘れる――正確には、埋もれる――程、未来視の情報量は俺には毒だった。
ああ、ラガーも心配かけちまったかもな。多分、視線を送られてた。
根本的解決にはなっちゃいないけど、タイムリミットが少しは長くなったんだろう。
なんで……優しくしてくれるんだろう。それはまだ、よく分からなかった。怖いような、暖かいような、何とも言えない気持ちなんだ。流石に面と向かって聞けなかったけどさ。
元々、この肉体は預言書の容れ物だ。ヒトやエルフの精神が入っていいものじゃない。
神は己が預言を創作物達に知らせるため、預言書をその創作物たち自身が生み出すように〝設定〟した。我が子のように、預言も■せと、そう言った。
物心がつく前に、容れ物として使われる筈だった。使われなくとも、その後のためにと殺処分が定石だ――大抵は耐えきれずに狂うか廃人になってしまうから。
それでも、俺は逃げた。逃がされた。逃げてしまった。
まあ、子供はそんなシステム知らないからな。
だから……だから、俺はどう足搔いたって出来損ないなんだよ。
すくったところでどうにもならない。
なのに、なのに――助けを求めてしまうのは、なんでだろう。
「ええ、貴方も掴めますよ。物語の可能性を」
郵便屋――〝MayBe.〟の言葉を、思い出していた。
そっと一人で飲むミルクは、少ししょっぱかった。