RECORD

Eno.48 Siana Lanusの記録

◇27

「我々の目的は――神を、人が乗り越える事です


──あの男の、その言葉が随分と耳に残る。

神を超える、神の役目を終わらせる。
安寧と平穏を享受できる時代を終わらせるために、停滞と腐敗を終わらせるために。
悪逆であれ、欲望であれ、人は進み続けなければならない。と。


分かる。分かってしまう。その思想は、共感しかない。

分かるのだ。そのうえで、なぜか妙にひっかかる。
彼の言葉に妙なところがあるという訳ではない。


  神を 人が 乗り越える  
  なにか、なにかが、  
  なにか悍ましいものが分かってしまいそうな気がする。  
  壁が一枚、そこにある。思考の先に、一枚の壁が。  
  この壁を壊したら、何かが、分かってしまう。  
  そんな直感があるのだ。  

  この壁は、今壊すべきではない。  



あの男の事は好ましくないが、
……停滞を壊して、大海に至れる事を、祈りたくなる。
大いなる水源の導きが誤っていない事を、まだ、信じて居るのだ。
これだけ何を喪っても、これだけ道を喪っていても、
それを、信じない事が出来ないらしい。






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ベンケイからぬいぐるみをもらった。
……故郷の母のことを思い出す。
父と母は今も元気にしてるのだろうか。
恋しくは無いが、気になることはある。
きっと父は変わらないんだろうけどさ。